「高知あきんどなび」三回目のインタビューゲストは、日本一の企業に就職しようと株式会社ユニクロに就職、そこでユニクロのマニュアルの中で「ニューヨークの地下鉄の落書きの話」に出会ったことがきっかけで高知を住みやすい街にしたいという強い思いから清掃業を立ち上げた(株)SAGAの坂本圭志社長に進むべき道をずっと求めてこられた現在までの道のりをお聞きしました。
高知県を住みやすく、女性がもっと活躍できる場所にしたいと思っています。
「ひとつの組織でひとつの目標に向かって何かを達成する喜び」が自分の中で感情を揺さぶられた『すごい成功体験』になりました。
話し手 ●坂本圭志さん /「(株)SAGA」代表取締役
No.003 || 聞き手●片岡佐代
(株)SAGA 代表取締役 坂本圭志さん
スタッフの笑顔、ここから(株)SAGAの美観管理がはじまります。
沢山の夢を持っていらっしゃる坂本さんです。
人生の大切な節目に必要な恩師に出逢いその都度多くの学びを得られてきた道のりは、ご本人が求めたからこそ得られた「実りある結果」に着地されているように思えます。
いつも前向き、そんな魅力ある坂本社長に集う社員の方々の (株)SAGAは活気にあふれています。
高知の街、いや是非私の家から美観をお願いしたい。 そんな思いを抱かせる楽しいインタビューとなりました。 高知の高齢化など吹き飛ばす企画をどんどん実行していただき、小さな子供から高齢の方々まで気持ちよく過ごせる快適な高知を実現していただけるよう心から願っております。
「石丸太郎先生」との出会い
──まず、この会社を立ち上げられたきっかけを教えてください。
きっかけはクラブ活動のサッカーでの成功体験です。 自分は小中高・社会人とサッカー部でした。小中高ともすごく弱小なチームでしたが、高校3年の頃新任で高知商業出身のサッカーで全国大会に出場経験のある石丸太郎先生がうちのサッカー部に監督で入ってくれました。
──高校はどちらですか?
高校は大方商業っていう幡多の田舎です。石丸先生は大学卒業後、すぐにうちの高校に赴任したので自分たちと年齢も近いし、サッカーに対してもすごく熱かったです。 弱小でボール遊びしかしてなかったうちのサッカー部も「練習しようやーっ」みたいな感じになり、そこからサッカー部が強くなっていったんですよ。
──すごいですね!
一勝もできなかったチームがですね! そこから一勝、二勝、三勝、地区大会を勝ち上がり、県大会にも出ることになりました。 小さい成功体験かもしれないんですけど「ひとつの組織でひとつの目標に向かって何かを達成する喜び」が自分の中で感情を揺さぶられた『すごい成功体験』になりました。
──良い経験をなさいましたね。
そうなんですよ。それがきっかけで自分は大人になってもそういった感情を味わいたいなと思いました。
選択肢はふたつ、ひとつはこのままサッカーの監督をする、もうひとつは組織のトップに立ち仲間をひとつにまとめ目標に向かって行く経営者かなと思いました。そこから経営者とか監督とか目指していくんですけど、大学では経済とか経営を学び、卒業してから日本一の企業に就職しようと思い株式会社ユニクロに就職しました。
その頃はフリースブームで色々と雑誌にも取り上げられていた柳井正という方が尊敬する経営者でした。経営者になりたいといきなり起業しても失敗するのではと、経営日本一の方のもとで学ぼうと思って。
ユニクロのマニュアルの中に「ニューヨークの地下鉄の落書きの話」がありました。1980年代のニューヨークは地下鉄が荒れ果て犯罪都市だったころ、人口もどんどん減り危険な街・住みたくない街となっていました。ニューヨークの市長にジュリアーニさんが就任され、まず第一の政策として税金を地下鉄の落書きを消す清掃にあてました、大事な税金を清掃にあてるわけですよ。でも、市民からは猛反対。なんで清掃にあてるんだ、それより警察を強化しないといけないとか、そういう議論もありましたが、実際税金を清掃にあててみて街がきれいになっていくと、 犯罪率も年間70%減となり住みたくない街だったニューヨークは人口も増えていったそうです。
それを今の高知県に置き換えてみました。自分の大学の頃、高知県は80万人くらいの人口でしたが、現在は73万人です。高知の美観レベルを上げ快適な空間を提供することで、高知が少しでも住みやすい街となればと思います。そして人口を増やし、高知の活性化に貢献できればと思い高知で清掃業を立ち上げました。
「工藤一善氏」との出会い
──そのノウハウというのは元々おありでしたか?
それがユニクロはアパレル業なので全くありませんでした。ユニクロも清掃にすごい力を入れている会社なんですけどね。(笑) 自分はすごく単純で、ユニクロ入ったのも経営者になりたいから入りました。清掃もまずは清掃にまつわる本を色々と読みあさり、イエローハットの鍵山さんの本など読みました。そして横浜のお掃除会社として何年も成功され続けている本に出会い、自分の目指すべきビジネスモデルを見つけました。著者に直接連絡してみようと、会社名や電話番号を調べ電話をしました。電話を受けてくださった方から著者である社長の工藤一善さんに自分の電話番号が伝わり、後日工藤さんから電話がかかってきました。自分の思いや、電話をしたきっかけ、経営者になりたいこと、清掃会社として高知で貢献をしていきたいということをお話したら、「お前おもしろいなー、じゃあ来い」と言ってくださったので横浜に飛んで行きました。
──すごい行動力ですね。
どうなんですかね。単純なだけだと思うんですが。
──そのときはご結婚されてなかったんですか?
いや、結婚してました。自分はこういう人間だと妻には話してましたのでひとりで横浜に行きました、工藤師匠には住むところを無料で提供していただき3カ月ばかり給料もなく丁稚奉公しました。(笑)
──でも言ってみるもんですね。清掃に必要なノウハウはそこでほぼマスターされたんですね?
そうですね。ついたといったらついたんですが、それ以上にいろんなことを教えていただきました。その工藤師匠のご縁もありますが、何事もチャレンジしないと学ぶこともないですし、失敗してもそこから学ぶべきこともあります。とりあえずなんでもチャレンジしてやっていくことかなというふうに思いました。もちろん清掃もずっとやらせてもらい昼間は清掃、夜は見積もりなどの事務的な勉強もしました。
「臼井先生と商人塾7期生」との出会い
──そのチャレンジ精神で商人塾も参加されたんですか?
商人塾は自分の違う勉強会での先輩、高知の大津のほうにある鶏を卸している会社「三栄ブロイラー販売株式会社」の三島社長に「土佐MBAっておもしろいよ、行ってきたら?」と紹介され、参加しようと思いました。
──MBAは講座の種類もいっぱいあるのに、なぜ商人塾に?
三島社長がおすすめしてくれたのは、「経営塾」だったんですが自分はなぜか商人塾のほうに。(笑) 応募が間に合わなかったのかな? 機会があれば経営塾にも行きたいです。
──実は商人塾は必然だったのかもしれませんね、商人塾で学ばれて一番よかったことは?
一番は出会い、臼井先生に会えたこと、商人塾7期生に会えたことっていうのがすごく大きく自分にとって本当にでかいと感じています。
自分は色々な会に入り多くのセミナーも受け、研修にも参加していますが高知で真剣に勉強されている経営者をあまり知らず大阪や東京や全国に行かなければ同志に会えないと思っていました。商人塾は真剣に勉強しようとする色々な方が参加されていました、7期生が自分の中で合ってたのかどうか分からないんですけどね。
──商人塾はみなさん前向きですよね。頑張ろうって人たちばかりだから、投げかけてもマイナスの答えが返ってきません。
今の言葉すごく共感しました!マイナスの答えが返ってこないって、本当にそうなんですよね。それがすごいでかかったですね!
──起業されてこういうイメージじゃなかったけどなっていうこともありませんか?
それはありますね!
ユニクロでは何もしなくてもお客様がきてくださって、平日でも一日100万とか増え、土日なら一日で500万とか普通に売れます。だからすごい甘い考えで会社を立ち上げたら結構売り上げってぼーんって上がるもんかなって思ってました。しかも「株式会社立ち上げたんで!」っていう気持ちもあって。 (笑)
必死で社員さんの給料を稼ぐっていう感じです。
──やりがいはありますよね。
すごいありますね。
──起業されて、前の会社に比べて自分のやりがいとか、成果を上げたいって思うことはなんでしょうか。
単純に、家事代行とではなく家の仕組みにまで介入するよ うなサービスを展開していきたいかなと思っています。具体的に言うと整理収納アドバイザーで、取り出しやすく探しやすいような収納のご提案などの方向に進んで行きたいです。
──家事代行は一時間どれくらいのお値段で考えられていますか?
家事代行の2,500円っていうのは、本当に誰でもできるような家事についての代行のお値段です。自分がやろうと思ってるのは、実際に家に行って整理収納アドバイスをするのもそうですし、整理術のレベルが上がっていけば個別で無駄な時間がより効率化されて行くんじゃないかなと思います。
──せっかく綺麗にしてもまた1年後となったら......。
そうなんですよ。それをやらなければいけないなと。あとひとつあります、洗濯代行をぜひやっていきたいなと思っているんです。一番自分の中では熱い思いなんですけど。ただの洗濯代行ではなくて65歳以上の高齢女性がする洗濯代行っていうのを展開したくって。なぜ高齢女性なのかっていうと二つ理由があって、まず ひとつは他人に服を預けるハードルってかなり高いと思うんですよ。預ける相手が高齢女性ならちょっとハードルが低くなると思うんですよね。
──うーん......かな?(笑)
あははは。(笑) 男の人より女性の方のほうが下着とか預けるのは安心じゃないですか。多少の障壁が減るかなっていうのがひとつの理由で、もうひとつは高知県のことを考えていくと、高齢女性はたくさんいらっしゃるんですよ。うちのおばあちゃんの話をちょっとだけさせてもらうと、毎回会うたびに「地元に帰りたい。地元に帰って畑も耕したいし」と言ってました。多分高齢になっても誰かの役に立ちたいという思いがすごくあるんだと思います。
──そういう仕事があると認知症など無関係になるのかもしれませんね。
医学の本をちらっと見たら、一番健康状態を保って長生きする方法っていうのが働くことらしく、自分もそうだなと思います。だから老後になっても働けるような状態を高齢の方々に提供したいという気持ちを持っています。清掃でハローワークに出したら、意外に高齢女性からの応募って多いんですよ。
洗濯だけに絞ってみても、高齢の女性って洗濯をもうずっとしてきたプロ、即戦力なんですよ。今は、年金とか健康保険とか若者が高齢者を支えているって言われているんですが「それを逆にしようぜ」というのがコンセプト、高齢女性達が若者の家事を背負っていく、今の手持ちのカードを裏返すという感じです。
高知県をもっと女性が活躍するような県にしていきたいなと思います。世界から見ても、日本しかも高知というのはまだまだ女性の役員率は全然低い。財布の紐をにぎっているのは女性で、女性が消費するにもかかわらず男性が色々なアイデアで販売とか物を作っていくのは違うかなって思います、もっと女性が活躍しないと。まだまだいっぱい話したいことはあるんですけどね。(笑)
(株)SAGA
088-856-5582
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■営業時間:9時~18時
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