今回は高知県幡多郡黒潮町で極上の天日塩「土佐の塩丸」を全国へ発信している『有限会社ソルティーブ』の取締役・吉田拓丸さんに天日塩への愛情や塩づくりの工程などその魅力の原点をお聞きしました。
天日塩を作るのではなく、自然から生まれる塩のお守をさせていただいています。
主役はあくまで「海と太陽と風」のお手伝いをしているという感覚です。そういう意味で塩のお守をする「塩守り(しおもり)」と自称しています。
話し手 ●吉田拓丸さん /「有限会社 ソルティーブ」取締役
No.010 || 聞き手●片岡佐代
(有 )ソルティーブ
取締役 吉田拓丸さん
拓丸さんのお母様かずみさん、自然や人との関わりをとても大切になさっています。
(有)ソルティーブさんの商品はコチラ
土佐佐賀の海辺にある佐賀製塩所にある事務所は、「自然と共生する」という言葉がぴったりの空間。
日々の生活で見失いがちな大切な何かを思い出させていただけます。
吉田家は拓丸さんが小さい頃、佐賀の町に移住されてきたとのこと。ご家族が培われてきた製塩場はお父様の吉田猛さんから拓丸さんに引き継がれました。頼もしいスタッフとともに成長し、地域を代表する産業となりつつあります。
原点を大切に海・太陽・風から生まれる「天日塩・土佐の塩丸」は全国にも胸を張って自慢できる高知の恵みです。
「高知あきんどなび」 片岡
「土佐の塩丸」の始まり
──土佐の塩丸はお父様からの継承と伺っておりますが、拓丸さんはいつごろから天日塩つくりを始められましたか?
社会人としては最初に大阪でダイビングの会社に就職しましたが、10年ほど前こちらに戻ってくることになったのがきっかけで「天日塩づくり」を始めました。
──最初にお会いしたとき、ものすごく締まった体格の方だと驚いていましたが、ダイビングと聞いて納得です。(笑)
天日塩は季節に関係なく年間を通してできるんでしょうか?
一応年間を通してできますが生産量として一番多いのは夏場ですね、冬は夏場の半分くらいの生産量になります。
──灘の製塩場を拝見させていただきましたが、夏場はかなり厳しい暑さになるのではないですか?
そうですね、クラクラっとくるくらいの暑さですので汗もいっぱいかきますし体力もかなり消耗します。一番危険なのが春先の熱くなりはじめです。身体も暑さに慣れていないせいで脱水症状から起こるめまいや吐き気、手足の痙攣が起こったりするのでこの時季(4月初旬)は気をつけています。
拓丸さんとスタッフの大城さん、頼もしくスレンダーな「塩の守り人」のツーショット!(灘製塩所にて)
──そういう意味では「天日塩つくり」は命がけの力技ですね。
力技というより根性技です。(笑) 力はあまり必要ではありませんが、根性と気合は必須です。
──素手で作業なさるので指紋が無くなったという画像を拝見しましたが、 製塩作業で指紋はすぐに無くなったりしますか?
真剣に作業していると、指先がひりひり痛くなってきて一日二日で指紋が無くなります。
見せていただくとホントに指先はつるんつるんです、恐るベし天日塩!
「塩守り(しおもり)」と自称しています。
──恐るべし「天日塩」ですね。 お母さまから「天日塩を作るのではなく、自然から生まれる塩のお守をさせていただいています。」と伺いましたが、拓丸さんのスタンスとしてはどのように思われていますか?
やはり同じ思いですね、仕事の話をしているとよく『職人ですね。』と言われたりします。 でも自分は職人という感覚は無くて、主役はあくまで「海と太陽と風」のお手伝いをしているという感覚です。そういう意味で塩のお守をする「塩守り(しおもり)」だと自称しています。
──できあがった「天日塩」はその言葉から生まれたというにはぴったりの素晴らしいできあがりですね。
あまり人間が前に出すぎると良くないですね。
──“自然をそのままいただく”という感じですね。
「調和」です。
──「調和」ですか、深いですね。 作業には色々な工程がおありかと思いますが、スタッフは何人くらいいらっしゃいますか?
アルバイトの方もいますが、主には5人です。 季節によって手伝いに来てくださる方が2~3人います。
丁寧な作業で仕上げる
細かく丁寧な作業で「土佐の塩丸」は完成します。
──できあがった後、手作業で塩を選別しているような作業も拝見しましたが大変な作業ですよね。
そうですね、目とか肩とか腰も凝ってきますし、ずっとやってるとかなり疲れます。 でもそれは必要な作業です。
──あれはどんな作業ですか?
あれは塩を結晶ハウスの中で長時間かけて結晶させるので、その間に風で飛んできた草木の種とか木くずとかの異物を除去する作業です。
──結晶の粒の大きさの選別も手作業ですか?
それは結晶ハウスの結晶させる工程で粒の大きさを当初から調整し目指す大きさの粒にしていきます。
美しい塩の結晶、自然の技は偉大です。
佐賀製塩所にある事務所、自然と共に時間が流れています。
天日塩は粒の大きさにによっても味わいが違います、数種の商品展開となっているのはお料理にあった粒の大きさでそれぞれに美味しくいただくため?・・・ですよね。
体験教室を開催しています。
──体験教室を開催されているとお聞きしましたが、どんな体験ができますか?
体験と言っても塩を一から完成までの体験は時間がかかり過ぎますので、普段わたしたちがやっている作業の追体験、具体的には塩を混ぜる攪拌作業や塩の収穫、先ほどの異物除去作業など、あと採れた塩の副産物で簡単な「塩エステ」を体験もあります。 大体1時間半くらいの工程を凝縮的な体験をしていただいています。
──体験した方は自分たちがつくった塩を持ち帰ることはできますか?
もちろん「お土産の塩」付きです。
──感激ですね!(笑)
ええ、持ち帰りの塩は30gだけですが、塩は大量に使うものではないので結構持ちます。いろんなお料理に試して使えるだけの量はおみやげとして持って帰ることができます。
──ホームページにも「塩やにがりの使い方」というのがいくつか紹介されていますが、エステにも良いし、色んなことに使えるなと思いました。特におすすめの使い方とかございますか?
塩自体は食品ですが、塩をとった後の「にがり」の副産物で“塩エステ”をやっています。 だから食用としてお出ししている塩以外の産物でこうした使い方があります。 風の予防で「塩水のうがい」も効果があります、少し喉が痛いくらいならすぐに治ります。
──塩ならヘルシーで良いですね。
とれたてのにがりを2~3日置き、沈殿したものを集めたものを“塩エステ”に使っています。手に取り、少しマッサージしてしばらく置き水で洗い流すと、とてもすべすべとした手になります、顔にも効果があります。
浴用塩でハンドエステ試させていただきました。
偽りなしのすべすべ感触に大感激です!
この仕事をして一番良かったこと
──色んな効用のある「天日塩」ですが、このお仕事をして一番良かったと思われることを教えてください。
一番のやりがいと言えば、お客様との距離が近いのでダイレクトに反応をいただけるというところです。うちの塩を使ってパンを焼いたとか、お菓子を作ってみたとかいうのをわざわざ連絡してきてくださるお客様もいらっしゃいます。 やはり、この仕事に就こうと思ったきっかけがそういう両親の姿がいいなと思ったのがな原点なので、お客様との交流はとても嬉しいです。
──これからの展開で何か具体的な計画はおありですか?
ありがたいことに需要はありますので、もう少し生産量を増やしたいとは思っています。
抽象的にはなりますが、僕は小さいときに大阪からこちらへ移住し、縁もゆかりもないところで塩を作り始めました。この生活を今まで続けてこられたのは高知の海と風と太陽、何よりこの町に住んでいる人たちの理解のおかげだと思っています。
ですので、この町に対する感謝はとても強く、うちの会社が少しでも成長して続くことがこの町への恩返しになると思っています。
──もうすでに全国へ土佐佐賀の「天日塩」は広がっていますよね。
そうですね、この町のひとつの産業にはなりましたし、この町で「天日塩」を作る企業も増えました。また高知県内にも「天日塩」を作る会社は増えています。
──高知の自然から生まれた魅力的な「天日塩」のパイオニアとしてますますのご活躍をお祈りしています。 ありがとうございました。
「土佐の塩丸」はゆでたまごだけでなく、みかんにもとても合います!
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佐賀製塩場 〒789-1723 高知県幡多郡黒潮町佐賀49
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